2022-01-01から1年間の記事一覧

旅する木 星野道夫

広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真にとる日々。その中で出会った先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活を、静…

とにかくうちに帰りたい 津村記久子

うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたいー。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋を渡って家に向かう時。それぞれの瞬間…

金の角持つ子供たち 藤岡洋子

「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親に打ち明ける。日本最難関と言われる中学校を受験したいのだ、と。難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、…

エミリの小さい包丁 森沢明夫

恋人に騙され、仕事もお金も居場所さえも失った25歳のエミリ。十五年ぶりに再開せた祖父の家に逃げ込んだものの、寂れた田舎の海辺の暮らしに馴染めない。そんな傷だらけのエミリの心わ救ったのは祖父の手料理と町の人々の優しさだった。カサゴの味噌汁、…

この世にたやすい仕事はない 津村記久子

「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして・…

太陽のパスタ、豆のスープ 宮下奈都

結婚式直前に突然婚約解消されてしまった明日羽。失意のどん底にいる彼女に、祖母のロッカさんが提案したのは”ドリフターズ・リスト”の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流されていなかっただろうか。自分の心…

水曜日の手紙 森沢明夫

水曜日の出来事を綴った手紙を送ると見知らぬ誰かの水曜日が届くという「水曜日郵便局」。主婦も直美は、職場や義父母との関係で抱えたストレスを日記に書き出すだけの毎日を変えたいと、理想の自分になりきって手紙を出す。絵本作家になる夢を諦めて今後の…

ミナトホテルの裏庭には 寺地はるな

祖父から大正末期に建てられた宿泊施設「ミナトホテル」の裏庭の鍵探しを頼まれた芯輔。金一封のお礼につられて赴いた先は、「わけあり」のお客だけを泊める、いっぷう変わったところだった。さらには失踪した猫も捜す羽目になり・・・。 私はホテルが好きで…

あしたから出版社 島田潤一郎

本当は就職したかった。でも、できなかった。33歳のぼくは、大切な人たちのために、一編の詩を本にすることに、出版社を始めることを決心したー。心こもった良書を刊行しつづける「一人出版社」夏葉社(なつようしゃ)の始まりから、青春の悩める日々、編…

百万円と苦虫女 タナダユキ

ひょんなことから前科者になってしまった鈴子は、どこにいても所在がない。ならば所在そのものをなくしてみよう!そんなネガティブかポジティブだかわからない発想から「百万円貯めては住処を転々とする」ことを決め、旅にでた鈴子。彼女を待ち受けているの…

その日のまえに 重松清

僕たちは「その日」に向かって生きてきたー。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか・・・。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死…

ビタミンF 重松清

38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉の抵抗感がなくなった。40歳、中学の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そうつぶやいた・・・。一時期の輝きを失い、人生の”中途…

アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的はーたった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデル…

楽園のカンヴァス 原田マハ

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定(しんがんはんてい)したものにこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ま…

隣人の愛を知れ 尾形真里子

不倫と仕事に一生懸命なパラリーガル、初恋の相手と同棲を続けるスタイリスト、夫の朝帰りに悩む結婚三年目の妻・・・。誰かを大切に想うほど淋しさが募る彼女たちの日常は、予想外の”事件”をきっかけに一変する。自分で選んだはずの関係に、どこで決着をつ…

卵の緒 瀬尾まいこ

僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。 瀬尾まいこさんの作品で初めて手元にしたのはこちらの…

フーガはユーガ 伊坂幸太郎

常盤優我は仙台市内のファミレスで一人の男に語り出す。双子の弟・風我のこと、幸せでなかった子供時代のこと、そして、彼ら兄弟だけの、誕生日にだけ起きる「アレ」のことをー。ふたりは大切な人々と出会い、特別な能力を武器に、邪悪な存在に立ち向かおう…

傑作はまだ 瀬尾まいこ

「長原智です。はじめまして」そこそこ売れている50歳引きこもり作家の元に、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子が、突然やってきた。孤独に慣れ切った世間知らずな加賀野と、人付き合いも要領もよい智。血の繋がりしか接点のない二人の共同…

金曜日の本屋さん 名取佐和子

ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は”読みたい本が見つかる本屋”らしい」とゆうネットの噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父の以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店<金曜堂>…

本の虫ミミズクくん カラシユニコ

読書を愛する小学四年生・加藤剣(通称ミミズクくん)。過剰に本好きな祖父のスパルタ指導のもと、古今の名作文学と出会い、文学の力を借りてちいさく大きな日々の悩みを乗り越えてゆく。 ミミズクくん家は晩御飯の後に家族で読書をする時間があります。その…

蜜蜂と遠雷 奥田陸

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵十六歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄田亜夜二十歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石二十八歳。完璧な技術…

花四段といっしょ 増村十七

「相手の年収」「スマホのアラーム切ったっけ」「今日の昼食」対局の最中でも、ついつい思考が散らかってしまうプロ棋士・花つみれ四段。雑念多き棋士の日常を描く”非”本格将棋コメディ! またまた最高な漫画に出会ってしまいました。なんでこんなお話が書け…

海が走るエンドロール たらちねジョン

シルバーガール×ブルーボーイのシーサイド・シネマ・パラダイス 65歳から映像専攻の美術だいに通い、映画監督を目指すとゆうストーリー。 まず年齢からしてこれから映画監督になると決めて大学に入学するとゆうバイタリティが凄い。周りは18〜22歳の若…

ランチのアッコちゃん 柚木麻子

地味な派遣社員の三智子は彼氏にフラれて落ち込み、食欲もなかった。そこへ雲の上の存在である黒川敦子部長、通称”アッコさん”から声がかかる。「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」。気乗りしない三智子だったが、アッコさんの不思議なランチコース…

スキップとローファー 高松美咲

高1の春、過疎地から東京の進学校へ!生涯設計はカンペキだけどちょっとズレてる岩倉美津未は本人も気づかないうちに周りをほぐす天然しあわせインフルエンサー! ずっと気になっていた漫画をついに購入してみました!そしてなぜもっと早く買わなかったのか…

スーパーマーケットでは人生を考えさせられる 銀色夏生

スーパーマーケットでは人生を考えさせられる。人間とは。男とは。女とは。夫は。妻とは。老人とは。赤ん坊とは。犬とは。働くとは。人の親切とは。生きるとは・・・。これは、そんな、ありふれたようでいて、日々、興味が尽きないスーパーマーケットでの監…

東京すみっこごはん 成田名璃子

商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒家は、年齢も職業も異なる人々が集い、手作りの共に食べる”共同台所”だった。イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、人生を見失ったタイ人、妻も秘密を抱ええたアラ還。ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる”…

とんび 重松清

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。愛妻の美佐子さんとのあいだに待望の長男アキラが誕生し、家族三人幸せを噛みしめる日々。しかしその団らんは、突然の悲劇によって奪われてしまうー。アキラの愛あまって、時に暴走し時に途方に暮れ…

クライマーズ・ハイ 横山秀夫

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀(とうはん)を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋(そうこく)、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、…

本日は、お日柄もよく 原田マハ

OL二ノ宮こと葉は想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で参加していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこ…