蜜蜂と遠雷 奥田陸

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵十六歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄田亜夜二十歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石二十八歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル十九歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。

上下巻で一つのピアノコンクールについて書かれているのですが、一次予選から本戦まで人数分の4回もの演奏シーン。普通だったらちょっと中弛みしてしまいそうなものですが、同じ人が弾いているシーンを4回書かれているのにも関わらず同じ文章は一度もなくさすがの語彙力です。かといって難しすぎる言葉を使っていないところがさらに凄いなと。自分がコンサートのいち観客としてその場にいるかのようで演奏で観客を魅了している描写では鳥肌と込み上げてくるものがありました。文字だけで人をこんなにも躍動させることができるのだなと感激しました。さすがの一言に尽きます。

あとずっとタイトルの蜜蜂ってどんな意味があるのかなって思っていたので意味が分かってスッキリ!