百万円と苦虫女 タナダユキ

ひょんなことから前科者になってしまった鈴子は、どこにいても所在がない。ならば所在そのものをなくしてみよう!そんなネガティブかポジティブだかわからない発想から「百万円貯めては住処を転々とする」ことを決め、旅にでた鈴子。彼女を待ち受けているのは・・・。うまく生きられない女の子の、ほろ苦くも優しい気持ちになる恋の物語。

私のバイブルでもあるこの作品。これを超えるお話は未だ出会ったことがありません。

最初の出会いは映画でした。当時蒼井優が大好きでこの作品を見ました。物語の色とか流れる時間にどんどん引き込まれていき蒼井優の魅力が存分に放たれている作品でした。一回では見足らず何回も見直し、ついにはDVDを購入!その後映像では飽き足らずこの小説も購入!今まで生きてきて原作&DVDまで買った作品はこれだけです。

原作では映画ではなかった春夫と中島君のバックグラウンドや鈴子が3万円の高級宿で自殺者と勘違いされるエピソードなんかが書かれていて、この作品の深い部分がわかってさらに好きになりました。

買った当時、主人公・鈴子の気持ちにドンピシャにハマったのと100万円貯めては住処を転々とするスタイルに私もこんな生活したい・・と本気で思っていました。(実質可能ではあるがやる勇気はなかった・・)

平成24年初版発行になっていたのですが令和4年に読んでも全く色褪せることのない作品でした。当時は鈴子みたいな生活に憧れていたけど今読んでみたら賃貸を数ヶ月で解約するのって勿体無いよな〜とかマンスリーレオパレスにすればいいのに〜とかバイト急にやめてみんなに迷惑かけるよな〜とかそもそも住所変更どうなっとん?!とかリアルなことばかり考えていてクソつまらん大人になってしまった。と悲しくなりました。笑

あぁ、もう一度あの頃の自分にもどりたひ。